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完全な無音は落ち着かない。 聞こえるともなく耳に達する音 静かな人の気配 忍び込む外の気配 壁や畳で柔らかく返される 蔵の中の静けさ。
春の苦みは体を覚ます 夏の勢いで体を元気づけ 秋の収穫が体を隅々まで満たす 冬のコクで体を守る。 小樽の海から、ニセコの大地から 藏群の膳を目指して旬がやってくる
十年前に感じた心地よさ。 もてなす人は変わり、調度も替わり 施設も少しずつ時を経て、記憶を刻む。 藏群で五感に刻む心象は 時によって熟成され 十年後も変わらない心地よさを生み出す。
ほんのりと木が香り 注ぎ口の熱湯から離れたぬる湯に 湯気が巻いて流れる。 大地をくぐり 生まれたばかりのいで湯が 肌を滑り芯までしみ通る。
季節は匂いを持っている。 新緑の森の香り立つ匂い 夕立前の水の匂い 紅葉を通るお日さまの匂い 粉雪の乾いた匂い。 藏はそんな中に建っている。
いつか見た蔵のある風景 どこか懐かしい蔵の風景。 蔵は昔から大事なモノを守る入れ物。 母のおなかで眠る赤ちゃんの安心感。 清潔さと静けさ。 屈託のないくつろぎが生まれます。